木製パネルに写真作品が展示された室内で二人が卓上のマイクを前に向かい合い、聴衆が静かに見守る様子を捉えた写真

「語り継ぐいのちの俳句」展2021 3月14日

ギャラリートーク 高野ムツオ氏×永瀬十悟氏

写真展の作品が並ぶ室内で高野ムツオ氏がマイクを手に説明するように立つ様子を捉えた写真

俳人 高野 ムツオ氏

1947年 宮城県生まれ。

金子兜太、佐藤鬼房に師事し、2002年『小熊座』主宰を鬼房より継承。句集『萬の翅』により第48回蛇笏賞受賞。現在、日本現代詩歌文学館館長、河北俳壇選者。

室内で机上の本や飲み物の近くに座った永瀬十悟氏がマイクの前で話す準備をしている様子を捉えた写真

俳人 永瀬 十悟氏

1953年 須賀川市生まれ。

20代で「桔槹」に入会。2003年第56回福島県文学賞。2011年第57回角川俳句賞受賞。2019年句集「三日月湖」により第74回現代俳句協会賞を受賞。

ギャラリートークは、高野氏が平成16年に牡丹焚火俳句大会講師として須賀川市を訪れた思い出話から始まりました。

未曽有の天変地異は、俳句をはじめとした文学にも大きな影響を与えました。被災者でもあるお二人は体験を丹念に掬い上げ言葉に刻んできました。

写真と俳句のコラボレーションは、仙台文学館から「震災の様々な行事の中で、毎年伝えていこう」という一環で始まったそうです。

写真展の作品が並ぶ室内で多くの聴衆が椅子に座り前方の対談者を静かに見守る様子を捉えた写真

なぜ震災の時、俳句をつくったのか

どこでどのように生きているか。その瞬間を留めるために「伝えるのは自分、読者は自分」他者へ伝える意識よりも「私もいた。いたことがある」思いの共感となればとお話しされました。

写真について

写真家の佐々木隆二さんが句に合わせて雪の写真をとるために、ふさわしい雪を待ち、喜び勇んで山で撮ったこと。俳句と写真の間にズレがあるぐらいがよく、読み取る面白さがあると説明されました。

室内で写真パネルが並ぶ壁の前に二人が資料や飲み物を置いた机を挟んでマイク越しに向き合って座る光景の写真

俳号について

  • 高野氏 「当時、父親のゆうじ(俳号・夕二)って名前はかっこいいですね。こんな自分だけかっこいい名前つけて、息子に睦夫なんてダサい名前つけて。睦まじい夫と書くんだからね。中学生、高校生の頃はヤですよ。もっと勇ましい名前をつけてくれよと」
  • (会場から笑い)
  • 永瀬氏 「先生。カタカナに俳号されましたけど、珍しいですよね」
  • 高野氏 「俳号をつけようと考えて。どうも上手くいかない。親父に相談したら、だったらカタカナという手もあるぞと」
  • 高野氏 「結構みんなが目立つと言ってくれて。良かったかな。そういう流れの中でカタカナのムツオが生まれました」

企画展のポスター「地震の話いつしか桃が咲く話」

「語り継ぐいのちの俳句」展 チラシ

(ポスターのパネルを手に)

  • 永瀬氏 「今回のポスターになった桃の花の。これは思い出深い句なんですけど。ご一緒に福島の飯坂に行ったときに」
  • 高野氏 「これはね。今から5、6年前ですよね」
  • 高野氏 「だんだん話が震災の話になる。地震大変だったね。それが福島の原発の話になる。あれはひどい。あれがなければねと暗くなるんです。その時桃の話をしたか、たしか明るい花の話をしたと覚えてて。そういうことを小耳にはさんで、それをそのまま俳句に」
  • 永瀬氏 「ご一緒したのでよく覚えています。確かにあの時、桃がもうすぐ咲くねという話が出て。それで桃が句会に出てきたので、誰の句かなと。うまいなと、やられたと思いましたね」
  • 高野氏 「私の中で福島の震災の俳句、テーマになるのは原発。なぜなら深刻で永遠に続くからです。根本の原因、回復。福島だけでなく、日本が、世界が考えなければいけない。負の財産。子どもたちにそういう未来をあげるんですよ。これはいろんな表現に関わる方は考えなくてはいけないもの」
広い室内で多くの来場者が前方の展示作品や話者に注目しながら椅子に座って静かに鑑賞している様子を捉えた写真

俳句に必要なものは紙と鉛筆だけ、一生の友達になれる。

若い人たちへ向けて「ただ詠んでくれたら、一生懸命作ってくれればいい。その時の気持ちを確認し、積み重ねていくことで心の財産として残ります」

俳句を親しんでほしいと、最後に声をかけられました。

パネルになった句が生まれた経緯や、震災当時の様子。はじめて作った句に纏わる子どもの頃の情景。幅広い両先生のトークは、胸を突かれ心に響き、ときにユーモアを交えての楽しいひと時となりました。

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