映画撮影のスタジオのような広い室内で、青空と白い雲が大きく描かれた背景パネルを垂直に立て、複数の照明機材や三脚に据えられたカメラ、さらにモニターを確認するスタッフを配置して撮影を行っている写真

背景画の専門家であり「雲の神様」と称される島倉二千六氏が描いた背景画の数々が、当センターに収蔵され、その一部が一般公開されています。
当センターが参画・協力する「日本特撮アーカイブ」の2024年度の活動で、これら背景画の調査と保存(デジタルデータ化)が実施されました。 前編では本事業の概要と成果について、続く後編 では調査・研究のご報告をします。

【現在は本ページで掲載している背景画の一部および背景画デジタルデータの一般公開は行っておりません】

2.小型~中型背景画パネルのデジタル化

明るい室内で、大型のスキャナーを用いて青空が描かれた精緻な背景画をデジタルデータとして読み込んでおり、傍らに立つ男性がモニターを確認しながら画像の細部や色調の再現性を慎重にチェックしている写真

小型~中型の背景画は、東京の専門スタジオで1枚ずつ高精細スキャンを実施し、デジタルデータを保存しました。

燃えるようなオレンジ色の夕焼け空が画面いっぱいに描かれており、雲の隙間から差し込む黄金色の光と暗く垂れ込める雲のコントラストが印象的な背景画の写真

小型背景画1.
使用作品不明
高さ:730ミリメートル 幅:1,030ミリメートル

厚い雲の隙間から幾筋もの鮮烈な光が海面へと降り注ぐ「天使の梯子」が描かれており、静かな紺色の海とドラマチックな空のコントラストが、特撮映画の背景画ならではの神々しく幻想的な情景を表現している背景画の写真

小型背景画2.
使用作品タイトル『超獣戦隊ライブマン』(1988年)
高さ:730ミリメートル 幅:1,030ミリメートル
エンディング、第10話で使用

雲の間から幾筋もの神々しい光が降り注ぐ「天使の梯子」を背景に、白い機体に赤いラインが入った戦艦が、安定した姿勢で空中をこちらへ向かって直進している写真
暗い宇宙空間を背景に、上部にはクレーターが詳細に見える満月が浮かび、下部には青い海と白い雲に覆われた地球の曲線的な地平線が鮮やかに描かれた背景画の写真

小型背景画3.
使用作品タイトル『超新星フラッシュマン』(1986年)
高さ:1,030ミリメートル 幅:730ミリメートル
第1話ファーストカットで使用

青く輝く地球の地平線を背景にして、中央に赤く光る眼のようなパーツを持つ巨大な円盤型の宇宙船が宇宙空間に浮遊しており、船体上部には細長い塔のような構造物がそびえ立っている様子を捉えた実写特撮映画の静止画
漆黒の宇宙空間を背景にして、画面中央を斜めに横切るように青色や黄色、白色の無数の細かな光の粒が密集して広がり、遠くの銀河や星々が輝く天の川のような神秘的な光景を描き出した幻想的な背景画の写真

小型背景画3.(拡大)
月と地球の間を流れる天の川のような表現は非常に細かな点描で描かれたことが確認できる

上空から見下ろした広大な平野には田畑や集落が整然と広がり、所々に白い雲が浮かぶ中、遠方には雲海の上にそびえ立つ雄大な山脈と鋭い山頂を持つ高い山が見える背景画の写真

小型背景画4.
使用作品タイトル『超獣戦隊ライブマン』(1988年)
高さ:1,030ミリメートル 幅:730ミリメートル

本背景画は本編映像で確認することができませんでしたが、昨年度の調査研究 で実施した矢島信男特撮監督の絵コンテの中から該当シーンを発見できたことで、使用予定だった作品のタイトルを特定することが出来ました。

左側には雲海の上にそびえ立つ雄大な山脈と広大な平野を描いたカラーの風景画があり、右側にはその映像制作のための指示書きや飛行メカの動きを素描した2枚の絵コンテが並べて配置されている資料写真

背景画(左)と『超獣戦隊ライブマン』における矢島信男特撮監督の絵コンテ(右上)、三池敏夫特撮美術監督による清書コンテ(右下)を見比べることで、使用が予定されていた作品を特定できた。

高くそびえ立つ無数の木々が密集する静かな森の中に、奥から柔らかな木漏れ日が筋となって差し込んでいる神秘的で奥行きのある森の背景画の写真

中型背景画
使用作品タイトル『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992年)
高さ:910ミリメートル 幅:1,820ミリメートル
オープニング、第2話で使用

鬱そうと茂る暗い森を背景にして、画面中央に石のような質感で「ジュウレンジャー」という力強いフォントのタイトルロゴが大きく配置され、その背後の木々の間には首の長い恐竜などのシルエットがうっすらと見える特撮番組のタイトル画像写真

この背景画が使用されたカットは合成ではなく、背景画の前にジャングルのセットや恐竜のミニチュア、作品タイトルを直接配置し、撮り切りで撮影された

島倉 二千六(しまくら ふちむ)背景画家

1940年10月5日新潟県に生まれる。中学では木版画部に所属し数々の賞を受賞。中学校卒業後に地元の看板屋を経て上京し、独立プロダクション(中央映画撮影所)で背景スタッフとなる。1959年に東宝特殊技術課に入り背景スタッフとして各作品に携わる。1982年に独立し「アトリエ雲」を設立する。『ウルトラQ』(1966年)、『宇宙刑事ギャバン』(1982~83年)、『さよならジュピター』(1984年)、『まあだだよ』(1993年)、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)、『犬神家の一族』(2006年)、『巨神兵東京に現わる』(2012年)などで背景として活躍。近年では舞台や博物館などでも活躍の幅を広げる。

後編の記事はこちら

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